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ロッくん

白鳥騎士団

WHITE KNIGHT

麒麟隊 屯所


ここを守備する俺は、侵入者の気配に気が付き、

やり過ごした上で、背後に回り込み、

刀の峰を首筋に当て、誰何しようとした


しかし、侵入者もさるもの、

俺が刀を抜いた瞬間、剣先で受け止めていた


私の背後を取ろうなど、10年早いわ


(嘆息して)

総隊長には、敵いませんね・・・


侵入者は、白鳥騎士団 総隊長にして、

青龍隊の長 エメラルドだった


俺は刀を納め、片膝をついた上で、


今宵は、白鳥騎士団創立記念の宴では?

その主賓たる、総隊長殿がなぜここに?


貴方の姿が見えないから、影武者を立てて、

コッソリと抜け出して来たわ


エメラルドはこともなげに言う


俺が憮然とした表情をしているのを見た、

エメラルドは


その翼、何があった? 今宵の事に係わりがあるのか?


と問いただすが、俺は何も答えなかった



他言はせぬ 私にも言えぬことか?


エメラルドの表情が険しくなったのを見て、

俺は渋々、口を開いた


過日の戦で、背に深手を受け、


「白鳥騎士団でありながら、背後を取られるとは・・・」


と、ロフノスキー隊長から叱責され、

密かに麒麟隊を出奔して、療養していました

前の翼は壊死したものの、ようやく新しい翼が生え始めてきました



貴方の事は、己の力を高める為に、

修行に出ているとロフノスキーから聞いていたけど・・・


麒麟隊は創設時期が浅いうえに、俺のような、未熟者のせいで、

誹りを受ける事を嫌ったのでしょう


(背を負傷するという事は、「敵に背を向けた」と侮られかねない)



宴に出ず、屯所の護りについたのは?


今の姿で、宴に出る事は憚られたので、隠蔽魔法を使って、

密かに、屯所を護る事にしたのですが、見破られるとは・・・


あの程度の隠蔽を見破れなくては、隊長は務まらないわ


(ロフノスキー隊長以下、麒麟隊の者どもには、

見破られなかったんだがな・・・)


ややあって、エメラルドが何かを唱え始めると、

麒麟隊屯所がまばゆい光に包まれた


結界魔法だ 宴が終わる頃には、自然に消滅するわ


と言うと、続けて


出奔の経緯は不問に処すとするわ

そして、今宵の事は私と貴方の間の秘密だ


早々にここを立ち去って、身体を癒すがよい

そして、いつかまた会おうぞ



総隊長殿・・・

俺は深々と頭を下げた上で、屯所から立ち去った



そろそろ、私も戻らないとな・・・


エメラルドは、美しい翼を広げ、

月明かりの中、夜空に舞い上がって行った

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